よくご質問のある特定技能1号外国人の賃金について解説いたします。
まず、特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準を定める省令1条1項3号において、以下のように記載がります。
「外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること。」
審査要領の中では、審査のポイントとして下記の記載があります。
①賃金規定がある場合
(外国人と日本人とに待遇の差がないことを前提として)申請人を含む労働者が賃金規定に基づいて報酬が決定されていれば同等報酬であるものとする。
②賃金規定がない場合
ⅰ 比較対象とする日本人労働者がいる場合
特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)や雇用条件書(参考様式第1-6号)から日本人と同等以上であることを確認する。
ⅱ 比較対象となる日本人労働者がいない場合
(ⅰ)申請人と近い業務等を担う業務に従事する日本人労働者がいる場合
②―ⅰで挙げた書類において合理的な説明がされていることを前提に報酬額が妥当であるか確認する。
(ⅱ)比較対象の日本人労働者がいない場合
特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)を提出をした上で、近隣同業他社において同等の業務に従事する特定技能外国人の報酬額を調査し、申請人の雇用契約書上の報酬額と申請人に対する報酬額が近隣同業他社において同等の業務に従事する特定技能外国人の報酬額の差が妥当であることを確認する。
③ 前記②によっても判断が困難な場合で職場に技能実習2号修了者がいる場合は、修了者の報酬と同等又はそれ以上であることを確認する。
審査に当たっては、特定技能外国人は技能実習2号修了者であればおおむね3年間、3号修了者であればおおむね5年間、日本に在留し技能実習を修了した者であることから、従事しようとする業務においておおむね3年程度または5年程度の経験者として取り扱うことが求められる。雇用する場合に技能実習時の報酬額を上回っていることはもとより、実際に3年程度又は5年程度の経験を積んだ日本人の技能者に支払っている報酬額とも比較し、適切に設定されていることが求められる。
また、建設分野においては、平成31年国土交通省告示第357号の中で3条3項2号において、以下の記載があります。
「1号特定技能外国人に対し、同等の技能を有する日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を安定的に支払い、技能の習熟に応じて昇給を行うとともに、その旨を特定技能雇用契約に明記していること。」
報酬予定額を決める際には技能実習2号修了者であれば概ね3年間、技能実習3号修了者であれば概ね5年間、日本に在留し技能実習を修了した者であることから、従事しようとする業務について概ね3年又は5年程度の経験者として取り扱い必要があります。技能実習生として受け入れたことがある者を特定技能外国人として雇用する場合、技能実習生の最終年度の報酬を上回ることはもちろんのこと、実際に1号特定技能外国人になろうとする者と同等の経験を積んだ日本人の技能者に支払っている報酬と比較し、適切に報酬予定額を設定する必要があります。(中略)なお、同等の技能を有する日本人の処遇が低い場合は処遇改善等、国内人材確保に向けた取組を行っておらず、告示第3条第3項第1号ホの基準を満たさないものと判断します。(運用要領別冊)
(建設分野の外国人材受入れガイドブック2020 P71より)一概には言えませんが、外国人建設就労者は1年目で平均23万円の月収となっていて、これに手当も支払われるのが普通です。30万円を超える月収を受けている者もいます。
国土交通省の計画の認定審査において、同等の技能を有する日本人と同等額以上の原則の徹底、賃金が高い地域への特定技能外国人の偏在、集中の緩和の観点から申請書に記載された報酬額について、
・同じ事業所内の同等の技能を有する日本人の賃金
・事業所が存する圏域内における同一又は類似職種の賃金水準
・全国における同一又は類似職種の賃金水準
・他の在留資格から変更して継続雇用する場合には、これまでの賃金
・すでに1号特定技能外国人が在籍している場合は当該者、技能実習・建設就労者が在籍している場合は当該者の賃金
と比較して審査を行い、低いと判断される場合には引き上げるよう指導することがあります。その場合には報酬額を変更の上で再度、雇用契約の重要事項説明や契約締結の手続きを行っていただくことになります。(運用要領別冊)